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『夢見る病気』豊原ね子

竹の子書房用【絵が先 古城の怪異】参加作品 古城の怪異〈3〉 著者:とよね

古城の怪異〈3〉 二章 その夏(――2/3)


 二章 その夏(――2/3)



 4.四人

 雲に朝が滲み、闇を灰色に変えた。
 雨は続いていた。一階の一室に、バドムの遺体は運びこまれていた。壁のタペストリーを下ろし、その上に横たえられている。ジュレーンがそばにぴたりと寄り添い、まだ泣いている。
 エルナートはいらいらしながら部屋を見まわした。ディルケは壁に凭れ、立ったまままどろんでいる。リジルも、バドムの遺体を整えてやってからジュレーンを気遣わしげに見守っていたが、今は椅子に座りこみ、小さな卓に伏して寝ている。片手を手帳にのせたままだ。
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『夢見る病気』豊原ね子

夢見る病気 みちしるべの〈8〉

〈ご挨拶とお知らせ~『百合と雪』について〉
 こんにちは!
 今回に限ってまともに挨拶させていただいました、とよねでございます。

 このたびイラストレーターの目黒詔子先生のご作品『百合の雪』に、電子書籍化を前提として私の小説を付けさせていただくこととなりました。つきましては「夢見る病気」の更新を一時的に停止し、「百合の雪」を優先して公開してまいります。
 全5分割となる予定です。
 それでは、よろしくお願いします。

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈36〉 著者:豊原ね子

第三章 Utopia(第七枝 夏) 第五話 ハトは死んだ ――1/2

   第五話 ハトは死んだ

 ―1―

 世界中の闇という闇を凝縮したような真の闇の底に、人の体が落ちている。
 歯を食いしばり、ミナシキは転落の衝撃と痛みに耐えていた。指一本動かせるようになったのは、たっぷり時間が過ぎてからだった。といっても、実際にはどれくらいの時間なのか、本当のところは分からない。
 暗すぎる。首をもたげたが、それで何か変わるでもなかった。指を、足首をゆっくり動かし、体と方向の感覚を取り戻す。地面は平らではない。ごつごつした石の地面は、少し傾いている。次に腕を這わせ、周囲の状況を確かめた。
 崖などはなかった。安全を確認したほうへ、体を動かす。引き裂かれるような痛みが全身を貫いた。それでも「痛い」だけですんだのだ。もし転落の途中で意識を失っていたら、この程度ではすまなかったはずだ。目を大きく見開き、何も見えぬ場所を睨み、もしかして俺は失明したのか、と思いついた。

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈35〉 著者:豊原ね子

断章・オルガレータへようこそ Ⅵ

晩鐘が吾のかわりに食われゆきその終生に哀の降るらん












 ―鳴る鐘がよぶの章―

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈34〉 著者:豊原ね子

第三章 Utopia(第七枝 夏) 第四話 神話の子 ――2/2

 ―5―

〈夜明け、山の端からさす朝日が、夜のうちに消えそびれた亡霊たちを引き裂いていく。谷は悲鳴で震える。朝露が葉の先で揺れるのは、その声を吸いきれぬからだ。
 長谷部は目をあけた。目覚めの余韻などはあらず、山の土すべてがそうであるように、この夜と朝の移ろいを余さず見ていた心持ちであった。障子越しの光が顔にそそいでいた。障子の外にひとかげは見えぬが、縁側を歩いてく老人の、衣擦れの音が聞こえた。長谷部はおきて障子を開けた。むかしからそうだと言うように、縁側は無人だった。
 するとコンと咳の音が、縁側の角から聞こえた。そこは夏草が茂り、暗く、鬱熱がごとき暑気をためこむ鬼門のほうであった。〉

プロフィール

黒実 操

Author:黒実 操
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