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『夢見る病気』豊原ね子

夢見る病気〈番外編Ⅰ〉 中編 著者:豊原ね子

Poltergeist(中編)

―3―

 なんて気味の悪い階段だろう。
 これは絶対に、夢に出るな。識はそう思う。
 見上げれば、踊り場は半地下の細い窓の周りだけがうすく明るい。手にしたライト一本だけが頼りだ。白い光輪が階段を照らせば、あたり憚ることなき蜘蛛の巣や、階段のふちの金具のサビつきがあらわになる。
 血のめぐりが早まり、急に腐った水や黴臭さが気になり始めて気分が悪くなる。
 いやだなあ、こんな所、明るいうちに来ておけばよかった。
 踊り場にたどり着き、上の階を照らす。
 いきなり上階の廊下から赤い球が投げかけられた。おもわず身構えた識の前で、それは音を立てて大きく弾む。バランスボールだった。
 いやに規則正しく段差を跳ね、識の横を転がって突き当たりの壁に当たると、方向を変え、いま識が登ってきた階段を落ちていく。ボールの弾む音が、暗闇の中に消えていった。動悸の高ぶりはまだ収まらなかった。上の階に怒りの声をかけようとし――『パジェット、悪戯はやめろ!』、しかし、共にいる相棒はそんなことができる奴じゃないことを、彼はまた知っている。
 下の階で、規則正しくボールが跳ねている。大きく弾み、その後に小さく弾む。誰かが持ち上げて落としているとしか思えない音がする。
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