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『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈34〉 著者:豊原ね子

第三章 Utopia(第七枝 夏) 第四話 神話の子 ――2/2

 ―5―

〈夜明け、山の端からさす朝日が、夜のうちに消えそびれた亡霊たちを引き裂いていく。谷は悲鳴で震える。朝露が葉の先で揺れるのは、その声を吸いきれぬからだ。
 長谷部は目をあけた。目覚めの余韻などはあらず、山の土すべてがそうであるように、この夜と朝の移ろいを余さず見ていた心持ちであった。障子越しの光が顔にそそいでいた。障子の外にひとかげは見えぬが、縁側を歩いてく老人の、衣擦れの音が聞こえた。長谷部はおきて障子を開けた。むかしからそうだと言うように、縁側は無人だった。
 するとコンと咳の音が、縁側の角から聞こえた。そこは夏草が茂り、暗く、鬱熱がごとき暑気をためこむ鬼門のほうであった。〉

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