お話の、あるところ。

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『夢見る病気』豊原ね子

夢見る病気〈番外編Ⅰ〉 中編 著者:豊原ね子

Poltergeist(中編)

―3―

 なんて気味の悪い階段だろう。
 これは絶対に、夢に出るな。識はそう思う。
 見上げれば、踊り場は半地下の細い窓の周りだけがうすく明るい。手にしたライト一本だけが頼りだ。白い光輪が階段を照らせば、あたり憚ることなき蜘蛛の巣や、階段のふちの金具のサビつきがあらわになる。
 血のめぐりが早まり、急に腐った水や黴臭さが気になり始めて気分が悪くなる。
 いやだなあ、こんな所、明るいうちに来ておけばよかった。
 踊り場にたどり着き、上の階を照らす。
 いきなり上階の廊下から赤い球が投げかけられた。おもわず身構えた識の前で、それは音を立てて大きく弾む。バランスボールだった。
 いやに規則正しく段差を跳ね、識の横を転がって突き当たりの壁に当たると、方向を変え、いま識が登ってきた階段を落ちていく。ボールの弾む音が、暗闇の中に消えていった。動悸の高ぶりはまだ収まらなかった。上の階に怒りの声をかけようとし――『パジェット、悪戯はやめろ!』、しかし、共にいる相棒はそんなことができる奴じゃないことを、彼はまた知っている。
 下の階で、規則正しくボールが跳ねている。大きく弾み、その後に小さく弾む。誰かが持ち上げて落としているとしか思えない音がする。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 よせばいいのにと思いながら、識はライトを消して階段を下り始める。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 足音を殺し、低いコンクリートの壁に身を寄せて、見つからないようにそっと顔を覗かせる。
 すると、

「――うわっ!」
 布団を跳ねのけた識の目に、障子越しの朝の光が差す。顔を上げた識は、バシン! ――襖がすごい音で叩かれて、向こう側からたわむのを見た。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 バランスボールがこの襖の向こうで跳ねている。
 足音が歩いてそれを追いかけた。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 裸足だ、と思った。
 やせた人だ。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 足音が追いかける。腰を屈めてまた拾うのが、衣擦れの音でわかる。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 だが誰がいるという? こんな宿の離れにバランスボールを持ちこんで投げて遊ぶような人が?
 パジェットは? 居間をはさんだ向こうの和室で寝ているはずだ。起きていないのか。この音に気付いていないのか?
 ――ポンッ、とっとっととととと…
 拾い上げて、落とす。拾い上げて、落とす。障子が金色に染まって明るい。蝉たちが、鳴き始め、今日も暑くなりそうだ。せせらぎの音。野鳥のさえずり。澄みわたる里山の朝。清らかな山里の朝。
 識は体が芯から冷えてくるのをどうすることもできない。
――ポンッ、とっとっととととと……
 まだいる。
 布団から這い出て、ナイフの鞘を左手で握った。膝で襖ににじり寄り、耳を寄せた。右手を柄に添える。
 ――ポンッ、とっとっととととと……
 そして立ち上がり、一気に襖を引き開けた。
 何も起きなかった。
 誰もいなかったし、何の音もしなくなった。音を立てて弾むものもなかった。人が隠れられる場所もなかった。
「パジェット?」
 掠れた声を。乾ききった喉からひり出した。
「起きてるか、パジェット?」
 床に、窓の形に朝日が落ちている。窓の外では客室露天風呂の湯面が光を集めている。網戸越しに爽やかな風が吹いた。テーブルにはヨーグルトが食べっぱなしになっている。向かいの和室を開けた。パジェットはいなかった。

 パジェットは大浴場にいた。朝の四時過ぎから開いていると聞いてわざわざ起きたのだ。客室つきの風呂もいい。だが大浴場にも行ってみたい。赤いキャンディと青いキャンディがあったら両方舐めてみたいではないか。七月の夜明けは早い。暗い藤色だった空が、東のほうから桃に色づいて、やがて朝日が金に白に染めるのを、内風呂から足を伸ばしてみていた。他に客はいない。
 とんでもなく贅沢だ。
 パジェットは貧乏性なので、自分ひとりで贅沢をしていると後ろめたい気分になる。ああやっぱ識も起こしてやればよかったかなあ。でもアイツ寝起きが悪いからなあ。寝てるときに部屋に入ったら枕で殴ってきやがるからなあ。うんやっぱり、一人で来てよかった。
 そらが真っ青に晴れ渡ったので、露天風呂のほうへと出た。大きな薬草風呂の前に釜風呂が五つ並んでいた。 じゃあこれも入ってみよう。
 体を沈めると、ザーッ、とお湯がながれ落ちた。
「おおおおおっ」
 あまり豪快に流れ出たので、パジェットはすっかり嬉しくなった。
 あとは減った湯面がゆらゆら揺れ、竹筒から次の湯が出てくるだけになる。だがしかし、隣にはまだザーのし甲斐がある釜風呂が四基も並んでいるじゃないか。
 全部ザーすることにした。
 次の釜風呂に爪先を浸し、一気に体を沈める。ザーッ!
「ううぇっへっへっへっへ!」
 しばらく漬かって悦にいると、次に移った。今度は一気に飛びこんでみた。ザーどころではなかった。頭まで湯が跳ねて思い切りかぶり四方に飛び散る。こんなこと、他に客がいたら出来ないぞ。贅沢だ。なんて贅沢なんだ。スゲェ。
 パジェットは高笑いと共に釜を出た。湯は半分以下に減っていた。こんなに減らしちまったのかよ、オレってば体積でけぇ。あと三つだ。二つは今を越すダイブを試みて、最後の一つは大事に、ゆっくり味わいながらザーしよう。そうしよう。パジェットはまだ人の気配に気付いていなかった。気付いたのは四つ目の釜風呂の湯を盛大に跳ね散らかし、気が狂ったような豪快な高笑いを済ませたあとだった。
 識が内風呂から見ていた。
 しかも何故か、服を一枚も脱いでいないのにタオルで体の前を隠していた。
 何をやっているんだろうこいつは意味が分からないぞ。
互いにそう思った。
 識は何かもの言いたげに露天風呂のパジェットを見ていた。気まずさを押し隠して見詰め返すと、すぐにくるりと背中を向けて出て行った。
 ああいま絶対バカにされたオレ軽蔑されたオレ。

 ―4―

 午前は講習会だった。儀礼銃士たちがブリーフィングルームに集められ、昨日の古田から改めて遷座祭の意義と儀礼銃士の果たすべき責務を説かれ、諸注意に移った。簡易トイレを持ち歩きましょう食べたものは片付けましょうくうぐんのきちにはいってはいけませんくうぐんのひとにけんかをうってはいけませんカブトムシを食べてはいけません昨日さっそくおなかを壊した人がいますクワガタも駄目です。
 その後各チーム持ち場を確認するよう命を受け解散。
「おい識」
「知らん」
「まだ何も聞いてねえだろ!」
 肌に火がつくような暑さの中をバス乗り場へ歩いていた。識が猫背になりながら不機嫌に答えた。
「うるさい、俺は怒ってるんだ。おまえ俺のマンゴーヨーグルト食べただろう」
「なんだ、あれお前のだったのか」
「どうしてそうじゃないと思ったんだ!」
「いや、二つあるからオレの分も買ってくれたのかと」
「なんて都合のいいヤツだ……」
「暑いからアイスでも買おうぜって言おうと思ったんだ」アイスクリーム屋のワゴンが公園に来ていた。「じゃあ、オレがおごるよ」
 パジェットがバニラを頼むと識は嬉々としてラムレーズンを頼んだ。
 一番高いやつ選びやがった。
「なあ」
「どうした?」
 識はすぐに話し出さなかった。アイスが少しずつ小さくなっていき、コーンを齧る音に変わってもまだ言わない。
「いや……なんでもない……」
「何だよ? 気になるだろ、言えよ」
「でもおまえ……」
 そのうちコーンも無くなって、残った三角形の包み紙をポケットにしまった。
「じゃあ言うけどおまえ……俺たちの旅館に幽霊が出るって言ったらどうする?」
 パジェットがぱたりと動くのをやめた。少しおくれて識も立ち止まり、振り返った。するとパジェットがいきなり両肩につかみかかった。
「おめぇ、冗談でもそういうこと言うんじゃねえよおい!!」
「うわぁ!」
 息がかかるほど顔を近づけてきたので識は顔を背けた。二人はちょうど橋の上にいた。欄干は腰までしかない。
「やめろ! 落ちる!」
「冗談だろ? 冗談だろ? 冗談だろ? 冗談だろ!」
「わかった! 冗談だからはなせ! とりあえず聞いてみただけだから!」
 パジェットが揺するのを止めた。大きな石がごろごろ転がる浅くて広い河から身を離し、襟首を正す識に、パジェットは怒り心頭だ。
「わかってて聞いてるだろお前! オレがそういうの嫌いだってわかって言ってるだろ!!」
「だからって乱暴な真似はよせよ」識も不機嫌になって言った。「今度やったらおまえ――本当に出たって言うぞ!」
「やめろ!」
 スタスタ前を歩く識に、パジェットは慌ててついて行った。
「冗談だろ、なあおい……なんでわざわざそんな事言い出すんだよ? えっ? なんで幽霊の話なんか急にしだしたんだ? おいまさか――おい!」
 嘘だろぉ、と勝手に大声で叫んでいる。識はいらいらしてため息をついた。何て気楽なヤツなんだろう。
「冗談だって言えよぉ!!」
 しかも女の怨霊のようにしつこい。
 後ろから軽くクラクションが鳴った。白い乗用車が橋を渡ってきて、二人に横付けした。助手席の窓から澪が会釈をして、その向こうでキリエが歯を見せて笑った。運転席を開けて、キリエが出てきた。それを見て、慌てて自分も出てこようとした澪が、助手席のドアを車止めにぶつけた。
「あいたっ」
 澪は痛くないと思う。
車は神社会館のものだった。キリエが得意げにあごをしゃくった。
「車、借りれたんだ。途中まで一緒でしょ。乗る?」
 ぼうっとしているパジェットを、識が肘でついた。
「おい」
「おっ? ああ……乗る」
「ありがとうございます、千住さん。助かりました」
「やったね! 運転任せちゃお。澪、後ろ後ろ」
 真面目な澪は二人に深く頭を下げた。「今日も一日、よろしくお願いします!」
 パジェットがうっすらと気色悪い笑みを浮かべるのを見た。識と幽霊の話をしなくていい流れになったのがよほど嬉しいらしい。トランクに儀礼銃をしまい、ニヤニヤしながら運転席に乗りこんだ。識は助手席に乗った。
 事故ったら死ぬ席だ。
 パジェットを見たらまだニヤニヤしている。
 大丈夫かコイツは。
 仕方ない、識は四輪の免許を持っていないのだ。が、パジェットはラジオをつけるとあっという間に正常な笑いかたにかわったので心配は無用だった。一本道沿いの民家が次第に田畑に変わってきて、温泉街に向かう道をはずれ、いよいよ車窓は真夏の田舎道となる。ラジオの音量をしぼり、冷房を切って窓を開けた。生ぬるいが強い風が、車内に吹きこんだ。
「おーい、本当に道あってんのか、こっちで?」
 車は一本道を走っていた。道と言っても舗装があるわけでもなく、田んぼの隙間が少し広くなった程度のものだ。二本の轍が白く伸び、間を雑草が覆っている。行く手にはそう高くない山々と、そこに見え隠れする千枚田や民家。
「ああ、もうすぐ道がなくなるから気をつけろ。そこを抜けたら林道に出る」
「道がなくなるって、大丈夫かよ」
「もらった地図にあるルートだから大丈夫なんだろ、行ってみろよ」
 後部座席を振り向いた。
「黄柳野さん、ちょっと揺れるけど大丈夫ですか?」
「……え? はい! 大丈夫です」
「酔ったらすぐに言ってくださいね」
 女性二人は歌を歌ったり写真で自分たちの顔を撮ったりしてはしゃいでいた。パジェットが窓を開けたものだから騒音をまきちらしているようなものだ。澪が識を見たタイミングでキリエがシャッターを切った。
「あ、カメラ目線がずれた!」
「……まあ、楽しければ大丈夫か」
「私、もうちょっと殺伐とした世界かと思ってたんです! 儀礼銃士の世界って!」
 澪が、キリエに負けじと元気な声を出す。
「でもいい人も多いし、絡んでくる怖い人もいるけどキリエさんが守ってくれるし、私――」
 笑ったまま、彼女は言った。
「たまに何してるのか分からなくなっちゃうんですよ! こんなに楽しくっていいのかって!」
 キリエとパジェットが、そして識も、目だけが真顔になって、鏡を使って目配せした。それに澪は気付かなかった。
「――まあ昔は」
 ハンドルを切りながら、パジェットが気軽な声で答えた。
「儀礼銃士の教育制度どころか、都市の防衛も出来てなかった頃は軍人がなるものだったからな。オレだってその流れだ。オレとキリエより上の世代ったら、一年先に何人生き残ってるかわからねぇってカンジだったからな。まーそういう人たちは絡んでくるわな」
 澪の笑顔がいきなり消えた。
「俺の頃にはもうそうじゃなくなってましたね」識が言葉を引き継いだ。「法整備も進んで、連邦どこでも、儀礼銃士といえば軍人というより神職の一種というふうに変わっていた。守護結界の技術もすすんで――技術や資源の交流をめぐって対立する国が増えた」
「儀礼銃士ってぇのは蟲相手に戦うもんだって思ってただろ?」
「それがこんなに、人間を相手にしなきゃいけないなんて思っていなかったんだ」
 澪はもう、座席の上で背筋を伸ばしていた。肩を強張らせ、膝に手を揃え、妙に萎縮している。やっぱり真面目な子だ。横目で見ながら識はなんとも言えない気分になる。今すぐ彼女から離れてしまいたいような。それでいて、そばにいて、いつでも助けてやりたいような。似ているのだ。何かあったら自分は彼女を放っておけないだろう。
「ま、澪、そういう日もあるものよ。来るときは来るのよ!」
 キリエが笑って澪の肩を抱く。
「ねぇー、識くん。そういうものよねぇ」
「はい……そうですね」
 車が山道に入った。悪路だった。本当に入っていけるのか分からぬような木々の隙間に入っていき、枝葉が車内に入ってくるのでパジェットが窓を閉め、その時後部座席の二人が「ギャア毛虫が入った」と騒いだ。それでつまみ出せだの触りたくないわよこんなモノだのとまた騒ぎ、それが済んだら、本当にこの道であっているのか合ってる俺を信じろお前そんなこと言って昨日水上バスの時間間違えただろうがと騒ぐ。その声をかき消さんばかりに枝や木の葉が車体にこすれる。ラジオの電波も切れ切れになるが、辛うじて聞こえる曲を知っている曲だといって、キリエと澪がまた歌いだす。
 識は助手席でまだパジェットと言い合う。
 ――『そういう日』が来なければいい。ずぅっとずぅっと来なければいい。識もそう願っていた日々があった。恐らく心の底では、いまも願っている。
 ずっとこんな馬鹿みたいな日が、ほんとに、ずぅっと続けばいい。

 キリエと澪は、林道に合流したところで下りた。車は貸してくれるというので、帰り際に二人を乗せる約束をし、パジェットは先を目指した。ノイズだらけのラジオを切り、急に静かになった車内で、識は少しだけ座席を倒してまぶたに腕を乗せた。
「どうした?」
「んー、ちょっと眠い」
「結局寝れなかったのかよ。このクソ暑いのに寝不足で歩き回ったら熱中症になるぞ」
「寝不足ってほどでもない」
 このまままっすぐな、と言い、識は腕の下からじっと、窓の向こうを見ていた。もう今朝の出来事は誰にも言わないつもりでいた。どうせ寝ぼけていたのだろうといわれるのがオチだ。冗談じゃない。寝ぼけてナイフを構えるようになったら、その時点で武器を取る仕事なんか辞める。
 一本道は蛇行する上り坂となった。砂利がはねて車の底を打つ。それにしても、車があってよかった。バスでふもとの集落まで行って歩くつもりだったが、実際に走ってみるとかなり遠いことがわかった。
 私立小学校の研修に使われるのだから少しは愛想のいい施設かと思ったが、やがて現れた建物は白塗りのただの四角いコンクリートだった。
「パジェット」前階段を先に上った識が呼んだ。「鍵が閉まってない」
 確かに、識が玄関のガラス扉を押すと、簡単に奥に開いた。古い水と黴の臭いがした。中は暗いが熱気がこもって暑い。靴脱ぎ場の向こうに暗い廊下がまっすぐ続いている。耳をすませながら上がりこんだ。鍵がいつから開いていたのか分からないが、誰かが掃除に来ているのだろうか。あまりひどく汚れてはいない。
「ふぅん。結構明るいところだな」
 学習室や和室が続くのを見回りながらパジェットが言った。屋内の日当たりはいい。遷座の間はこの外に泊まりこむことになる。できるだけ、中の様子は把握しておきたい。
 施設は四階建てで、屋上へ至る扉も開いていた。ドアノブは針金が巻かれていたらしく、傷だらけだ。開けてみたら理由が分かった。柵がくるぶしまでの高さしかない。
 直射日光が照りつける。識はぎりぎりまで縁により、地面を見、また目の前の山々を見た。うんざりするほど、むせ返るほど、どこも緑だった。
「宿があの辺だな」
 パジェットが隣に立つ。識は地図と山々とを見比べて、奥の院を探した。
「あれかな……瓦屋根がちょっと見えてる所」
 それから凄いことに気付いた。
 女の子の死体が漬かっていたという件の神社は、はなれの客室露天風呂と真正面から向き合っているじゃないか。まあ、ただそれだけの事だ。できるだけ気にしないようにしよう。あと、パジェットには言わないでおいてやろう。
 パジェットがいきなり識の腕を後ろに引いた。
「何――」
 口に指を当てて、しゃがめと合図する。下のほうで、軽い戸が閉まる音が聞こえた。熱い柵にそっと顔を寄せると、中年の男が一人、裏口から出てきた。申し訳ばかり左右を見回すと、そそくさと表へ向けて歩いていく。パジェットが手で「来い」と合図する。階段を駆け下り、識が正面玄関へ。パジェットが裏へ。
 さっきの男が神社会館の車を覗きこんでいた。どうという事は無い、少し太り気味の民間人だった。
「何をしてる!」
 男は飛びのいて車から離れ、林道を見、逃げてもとても敵わないと思ったのか、慌てて首をふった。
「違う、いえちょっと、違うんですよ。これはその、人が来るのが珍しいから。いえ」
「あなたは何をしに来ているんです?」
「いや、私はですね」
 目が完全に泳いでいる。
「ここの掃除とか、管理を任されていたり」
「失礼ですが、委託を受けたと証明できるものをお見せ願えますか?」
男が素早く林道を振り向いた。が、その時にはもうパジェットが道を塞いでいた。
「……一緒に来てくださいますね?」

 ―5―

「で、そいつ神社会館に引き渡してきた」
 マンティスのオペレーターを使いパジェットがキリエと話している。
「ふぅん」
「悪いな」
「しょうがないね。ああ、汗だくだよ」
 二人は山代地区に戻り、市場の大衆食堂にいたが、キリエたちはまだあの山にいるらしい。バス停まで歩くだけでもかなり大変なはずだ。
「ま、おっつけ会館が詳しいこと教えてくるだろうがよ」
「何か分かったら教えてちょうだい」
「ああ、後でな」
 中年と老人のあいだくらいの小柄な女性が盆を持って来たので、話を切り上げた。刺身の皿と海鮮丼が目の前に置かれていく。こういう食事は臣津に引きこもっていてはなかなか味わえない。
 もう割り箸を割って待っているパジェットに、店員の女性が聞いた。
「お待ちどさん。あんた方儀礼銃士?」
「あー、そう。今度の遷座祭のことで呼ばれててね」
「へえ、それはご苦労さんだねえ。あんた達どこ見張りなさんの?」
「山ん中の小学校の研修施設。……の廃墟」
「ああ、あそこねぇ」
 女性は茶色く肌荒れした顔を思いっきりしかめると、ハエを払う動作で片手を振り、かたちばかり辺りはばかる。
「波寄地区のお邸のお嬢さんが亡くなったところでしょ?」
「あーそうそう」
 そこで亡くなったわけではないが、この手のおばちゃんに細かいところを突っこんではいけない。
「あそこはねー、あんま良くない土地よぉ」
「あそこって、あの山がですか?」
「ううん、違うのよお兄ちゃん。波寄地区よ」
 おんなじ市の中で悪くは言いたくないんだけどねえ、とか断っておきながら、悪く言う気満々である。
「もともとね、むかぁしは風の森神宮、わたしら風神さん言うとるんだけどね、風神さんがあるところが陸地の終わりだったのよ。波寄地区はその先を干拓してできた所なんだけどね、なんで波寄せ地区言うか分かる?」
「波が寄せるからですか?」
 識が小学生でも答えられそうなことを言った。
「昔はね、ほら、沖での漁業なんて大変なことだったのよ。風が吹いて船がひっくり返るし、雨が降って沈没するしねえ。そんでほら、波が寄ってくると、そういうものも一緒によってきて打ち上げられるのよ」
「はあ、なるほど……」
「そんでねぇ、漁師の死んだのだけやなしに色んなもの……よその国の商船やったらお金になるようなモンとかねえ、あと魚、肥えた魚も一緒に流れてくるんだわこれが。で、またその魚の味がよくってねぇ。高く売れるんでねぇ。だで、どこぞで船が沈んだ後は波寄から船がよーけ出て繁盛しとったそうだわ」
「おーい、シゲちゃん! やめてくれやシゲちゃん。おれまだ食っとるがな」
 すこし離れた席から、ハーフパンツにタンクトップの太った男が声をかけてきた。
「あらぁヨシちゃんまだおったの。あんた店は」
「いらんいらんタカシにやらせときゃエエんだわ」
 と言って、ビールのグラスを呷った。
「おれが居らんときに話してくれそういうのは」
「とか言いながらいつまでも居座るんでないの。いかんわねアンタは」
 風の森神宮は風早市守護の要であり、その風のご神徳でもって古来より風早に繁栄をもたらし続けてきたという。
 繁栄……。
 識はすっかり微妙な気分になって海鮮丼を見下ろしていたが、パジェットが、何を思ったか知らないが、いきなり凄い勢いでわさびをしょうゆで溶いて、丼にかけて食べ始めた。
「おっ、うめえ! まじでうめぇよマジうめぇ! うん、すンげぇうめえ! やべぇ!」
「ああ、そう……」
 急にがっつき始めたパジェットの前で、識は静かに箸を割った。
 ちょうど食べ終わったタイミングで古田から連絡が入った。さっき連れ帰った男のことだった。店を出て、裏手で顔を突き合わせて覗きこんだ。
「私には、管理を任された者だと申しておりましたが」
「もちろんそれは嘘でした」
 オペレーターの向こうから古田が答えた。
「これ以上喋る気配がないので警察に身柄を引き渡します。あとはそちらに任せましょう」
「他に、何か分かりませんでしたか? 彼の身元とか」
「職業はタクシー運転手ですが、波寄地区の松代邸のもと運転手を務めていたことが判りました。松代陽花氏の入り婿の男性が今は一人で住んでおられますが、事件の後解雇したようで。生家は同じ波寄区の喫茶房です」
 その喫茶の名前を聞いた。
 昨日、バスの待ち時間にトコロテンを食べたところだった。

 昼下がりになってから、茶碗をもって喫茶房へ向かった。昨日の老婆はおらず、亭主らしき頭のはげた老人が、カウンターの向こうで新聞を広げていた。外の軒下のベンチで子供たちがカキ氷を食べているのが、客らしき客であった。
「あのー、ちょっとスイマセンねえ」
 パジェットが話しかけている間、識は店内を見回した。テーブルは四卓。カウンターの周りに椅子があり、壁には識が知らない大きな魚の魚拓がある。あとは営業許可証などが額縁に入っているだけの、ごく質素な店だった。
「――っていうワケでしてね。いやぁ、すいませんでしたホント」
「あっ、茶碗ね。言うとったわ言うとったわ。この暑いのにわざわざどうも」
「いやー、たまらん暑さですわ!」
 などと言いながら勝手に椅子を引いて腰掛けてしまった。こういう厚かましさというか大胆さというか、まったく相手を身構えさせること無く目的の会話に持ちこむというのが、パジェットは得意だ。識はどうしても出来ない。まずああいう「オレは人のいいオッサン(27)です」的な猫かぶりができない。隣に並んで座った。
「あんた方儀礼銃士?」
「ええ、そうなんですよ。どこ行っても聞かれちゃってねぇ。いやホント、昨日はすいませんでしたねえ」
 店主が老眼鏡を外した。
「そのお皿、安田陽健さんのですよねぇ」
「知っとるんかい」
「そりゃあまあ有名ですもん。いろいろ、あんな事件もあって」それから、いかにもという感じで付け足した。「いやまあ、この町には来たばっかでよく知らないんですけどねえ」
「なんだ、よく知らんのか」
「僻地におりましたんで、ずっと」
「しゃあないな。おおい、母さん!」店主が店の奥に声をかけた。「母さん、ちょっと!」
 これくらいの年の人が言う母さんというのは、大体の場合自分の妻である場合が多いのだが、実際に杖をついて現れたのは、もう百歳に手が届くのではないかと言うような老婆だった。目の前の男を老人と形容するのは失礼でないかという気がしてくる。そんなことは無いのだが。
 老婆は杖を少し前に出しては片足を杖に寄せ、次に反対の足を引きずって寄せるという歩き方で、見ていて不安になる。「大丈夫ですか」と支えてあげなくてもいいのだろうか。
「やかましいわ、バカタレが! いい年こいて何かありゃいっつもいっつも母さん母さんと!」
 ……要らんお世話だった。亭主の母親は見た目を裏切る威勢のよさで五分ほど亭主を罵った。少なくともこの二人は、パジェットたちが家族を拘束したことを知らぬようだ。
「そんで何だね」
「母さん、安田陽健の前の会社のこと覚えとるかね」
「あーはいはい、あんたたち何ぃ、警察?」
「警察が今時聞きに来るわけないがな。なんやほら、何ていうんか忘れた。蟲が来んようにする人たちだわ」
「あーはいあのナンタラいう仕事の人らな。あの事件のこと聞きたいんかね」
「松代さんのお宅なんですが……」
「あーはいはいはいはい」
 識がまだいい終わらない内から、老婆は勝手に納得した。
「あそこはなあ、アレだでな、イカンわな」
「アレとは」
「良くないんだわなあイエが。そんであそこの嫁さんも姪御も、おかしなった言う話じゃんか」
「姪御さんのことは有名なんですか?」
 しわしわの顔にさらに皺を寄て、首を振った。
「女に祟るイエなんだわな。まあもともと女が強いイエなんだども、あそこは特別だわ」
「祟るとは、どういう……」
「あんなあ、あすこはまあ、会社ができるよりずぅっと昔の昔から薬売りでやっとる家だけども、出よるちゅうんだわコレが」
 と、両手を胸の前に垂らした。パジェットは我慢している。いいぞ。
「イエの女の誰かひとりが絶対見るようになる。嫁に入ってきた女じゃイカンのよ。そう! そういえばあそこの長男の嫁がな――」
「あっ、ちょっとすみません。出るってつまり幽霊ですか?」
「いやー、知らんがな。幽霊言うのか知らんけど、なんか自分がもう一人いる言うて、おかしなるそうだわ。居らんのに」
 パジェットと識は目配せを交わした。
「それが、陽花さんと姪御さんだけでなく、ずっと昔から?」
「まあそう。なんか祟られとったとしてもおかしないイエやけどな」
「というと」
「よそで言うたらイカンでェ」
 と、老婆は言ってカウンターに肘をつき、身を乗り出してきた。
「あんな、薬売り言うたら聞こえはエエけど、あそこ元々はチョードクシだったんだわ。あたしが小さい頃までやっとったわ」
「チョードクシ?」
「そう。調毒師」

 二人が店を辞すと、ちょうど、目の前に乗用車が停まった。後部座席からくわえタバコの女と、それに引きずられるように冴えない男が出てきた。
 男は研修施設であったあの男だった。
 パジェットと識を見て硬直する。
「おらぁ、さっさと歩きなさい! 何やってんだアンタは!」
 なるほど、この女が家内で、身元を引き受けたらしい。あまりガラのよくない女だ。じろりとこちらをひと睨みし、不機嫌に店の裏手に回っていった。

 ―6―

 よくない土地だのよくない家だの、傍から見てればいい町なのに、仕事で来たばっかりにとんだケチがついた。パジェットと識は呼び出しを受けて、また神社会館に来ていた。
「腕相撲しようぜ!」
 パジェットがいきなり言って、風の森神宮の小さなジオラマが収納されたガラスケースに肘をついた。識は『のむ焼肉』をのんでいた。「ああ」と答えて紙カップを置くと、識も肘をついて手を組んだ。
 澪はすみっこで立ったまま様子を見ていた。体格を見ればパジェットが勝つだろうと思うが、内心では兄弟子の識を応援している。がんばれ名倉センパイ。なかなかいい勝負だった。ソファに座りこんでいるキリエに、二人には聞こえないように話しかけた。
「あのお二人は仲がいいですね」
「まあね」
「性格がとても正反対に思えるのに」
「似てないように見える?」
「はい、私には……」
 キリエはタバコを取り出すと、火をつけ、大きく吸いこんで吐き出した。それから言った。
「……バカなところがそっくり」
 澪ははじめ言われた意味が分からなかったが、二人の腕相撲を見守るうちに、動きが不自然であることに気付いた。
  二人とも力を入れていない。
 演技だ。腕相撲ではなく腕相撲をする演技をして澪を騙そうとしているのだ。
 パジェットがこちらを見、澪が見抜いたことを察すると、手をほどいて嘆いた。
「あーあ、オレたちもまだまだだな!」
「ああ。まだまだだな」
 一体どこらへんが楽しいのか想像もつかない。
「ま、長年一緒にいて飽きない仲っていうのは、ああいう所が似てなきゃダメなのよね」
「なるほど! 勉強になります!」
「言っとくけどアレの真似はしなくていいからね」
 正面玄関から古田が入ってきた。四人はそれぞれ会話をとめる。外はもう紫がかった薄闇で、通りに人の姿も見えなかった。
「車を出して参りました」古田が丁寧に頭を下げた。「行きましょう。千住さん、黄柳野さん、応援にきていただき感謝いたします」
「いいんですよ。どのみち、彼らとは協力しあうんですから」
「出ましょう。あまり遅くなってはいけません」
 昼間の熱気が蒸発していくところだった。古田はパジェットが申し出るのを断り運転席に座った。ライトバンに全員が乗りこむと、車が動き出す。午前と違って、今は自分から話したがる者はいなかった。古田がラジオをつけた。暮れの紫は次第に深みを増し、町に街灯が点く。街灯がなくなる田舎道に入ったころには、もうすっかり夜だった。
 一番後ろの席で、澪とキリエが小声で何かを話している。
 識はパジェットを見た。たまたま同じタイミングで、パジェットも識を見た。
「今日のうちに研修施設を、もう一度見に行ってはくれませんか?」
 古田から要請が入ったのは、喫茶房を出てすぐだった。
「例の侵入者が保釈されました」
「はい。さきほどすれ違いました」
「明日また研修施設に向かわれるおそれがあります。彼は何かを探しているようでした。まさか今日捕まったばかりでとは思いますが――」
 警備については明日話し合う、今夜のうちに応急処置をしよう。もし侵入のために窓ガラスを割ったり、自分たちが巻いた針金を切ったりしたら逮捕できる、というのだ。キリエと澪が応援に来てくれた。そして古田も来るという。パジェットと識のサポートを受け持っているのだから当然だ、という。
 田舎の未舗装の道から山へと入っていく。車が荒波の船みたいに揺れて、識だって油断していたら気分が悪くなりそうだ。後ろの二人はもうしゃべっていない。林道に出た。林道を、どこまでも上っていく。
 着いた。
 当たり前のように車を出て、そして――日中と、あまりに様子が違うことに衝撃を受けた。
 こんなこと口には出さないけれど、怖い。
 建物が大きすぎて怖い。窓が怖い。窓の向こうの、夜空より暗い闇が怖い。その窓から実体の無い誰かがじっとこちらを見ているのを発見しそうで怖い。なにより無音が怖い。古田が車に鍵をかけた。隣のパジェットも、キリエも澪も思うところは同じらしい。
「別れましょう」古田が間に入った。「私は二階の部屋の雨戸を閉めていきます」
「じゃあ、私たちは三階と四階を」
「じゃ、オレたちは、一階の非常口や廊下を封鎖していきます」
 そうして五人は解散した。古田たち三人が階段を上っていくが、パジェットと識は真っ暗な廊下を並んで進んでいく。もし行く先でカタリとかコトリとか、扉の軋む音が聞こえたらどれだけ怖いことか。仕事じゃなければこんなところ、とても居られない。
 突き当たりについた。
「……じゃあ俺、地下階を見てくる」
「ああ」
 気の利いたことは言えないし、面白いことも思い浮かばない。
 闇にひたる白い階段を、ペンライトで照らしながら識は下りていく。
 腐った水の匂いは、この地下階から立ち込めていた。そういえば女の子の死体が……ドラム缶で水に漬かって腐っていたことや……その子が、ここに泊まってたことなどを、思い出さずにはいられない。
 やること自体は簡単だ。ドアのそばの適当なところにフックをねじ込み、針金でドアノブとフックを結んで固定する。それだけでいい。
 ためしに地下の非常扉を開けてみた。目の前にコンクリートの壁と階段があり、地上に繋がっている。夜の森を見上げ、そしてすぐに閉めた。闇が濃くなったように思えた。あとは何も考えずに、作業を終わらせる。
 ああ、それにしても。
 なんて気味の悪い階段だろう。
 これは絶対に、夢に出るな。識はそう思う。
 見上げれば、踊り場は半地下の細い窓の周りだけがうすく明るい。手にしたライト一本だけが頼りだ。白い光輪が階段を照らせば、あたり憚ることなき蜘蛛の巣や、階段のふちの金具のサビつきがあらわになる。
 血のめぐりが早まり、急に腐った水や黴臭さが気になり始めて気分が悪くなる。
 いやだなあ、こんな所、明るいうちに来ておけばよかった。
 踊り場にたどり着き、上の階を照らす。
 そして足がいう事を聞かなくなるまで、そうは掛からなかった。
 ――俺は前にもここに来たことがある。
 そんなはずは無いと、識は自分をなだめた。日中、ここには来なかったじゃないか。でも、覚えがあるぞ。何となく見たことがある、ここを。
 ――パンッ!!
 ビニールの膜を弾くような音が、一階の廊下から響いた。
 赤い球が視界に飛びこんできた。おもわず身構えた識の前で、それは音を立てて大きく弾む。バランスボールだった。
 いやに規則正しく段差を跳ね、識の横を転がって突き当たりの壁に当たると、方向を変え、いま識が登ってきた階段を落ちていく。ボールの弾む音が、暗闇の中に消えていった。動悸の高ぶりはまだ収まらなかった。
 上の階に怒りの声をかけようとし――
 そうだ、俺はあの時も、パジェットに「悪戯はやめろ」と言おうとした。
 バランスボールが地下階に落ちきる。
 衣擦れの音がやってきて、ボールを持ち上げた。
 
 ――ポンッ、とっとっととととと……

 あの時? あの時って――いいや、そんな時はない。だって、夢だったじゃないか。
 夢で俺はどうした? 階段を下りて、地下階を覗きこんで。それから何かを見た。その瞬間に起きた。ひどく驚き――目覚めた瞬間、夢でよかったと思った。
 識はライトを消した。よせばいいのに。階段を下りていく。音はまだ続いている。

 ――ポンッ、とっとっととととと……
 ――ポンッ、とっとっととととと……

 足音を殺し、手すりに身を寄せ、そっと顔を覗かせる。
 いきなり金属音が響いた。識は飛び上がり、ライトをつけた。慌てて音の方向を照らす。ボールなど無かった。誰一人としていなかった。ただライトの光輪が、床の一隅を照らしていた。
 非常口のほど近く。
 排水溝の金網が開いている。今のはあれが持ち上がるところだったと識は悟った。――この暗闇で、排水溝の下から真っ白な指が伸びてきて、それがガタンと金網を持ち上げるところを想像し――己の怖れを踏み躙るように、大股で識は歩いて行った。
 やがて何かが排水溝のふちから照り返してきた。識はハンカチを取り出してそれをつまみ上げる……。
 円い虹のペンダントトップだった。
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment form













管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

黒実 操

Author:黒実 操
「竹の子書房」に参加中。
www.takenokoshobo.com/index.php
無償版電子書籍がたくさん!

管理人ツイッター
http://twitter.com/kuromimigen

最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。