お話の、あるところ。

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『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈30〉 著者:豊原ね子

夢見る病気〈30〉 第三章 Utopia(第七枝 夏) 第三話 雷火 ――1/2

   第三話 雷火

 ―1―

 押し寄せる雲が薄茶に色付き、森から遠雷が聞こえた。湿り気を帯びた風が街路で渦を巻く。砂埃が路上で円を描きながらはしって行く。すぐに小雨が降り始めた。家々から女たちが飛び出し、あわてて洗濯物を取りこむ。
 北部郊外の一軒の平屋だけ、洗濯物が取りこまれない。
「トラちゃあん」
 中年の主婦が、猫を探してさまよい歩いている。
「トラちゃあん!」
 医院の前庭の植えこみから茶トラの猫が飛び出した。「トラちゃん」、主婦が猫を抱き上げると、雨が本降りになる。叩きつけるような雨の中、主婦は平屋に帰っていく。

 最後の一人を送り出し、午前の診療を終えた。医院とつなぎになった自宅の居間で、ネーリ医師は熱い茶を飲みながら、猫を呼ぶ声を聞いていた。
 看護師は雇っていない。みな逃げるように辞めていった。それでいい。小さな区画の、小さな医院だ。患者数など知れている。煩わしい雑事は絶えないが、我慢できぬことではない。
 これまでも一人で生きてきた。ろくでなしの両親、ごくつぶしの夫、女手ひとつで育て上げた娘も、さっさと自分のもとを離れて無能な男のもとへ嫁いだ。一人で死んでいくのに足るぶんの蓄えなら、ある。気楽だ。頼れる人はいないが、許せぬ人もいない。
 雨音にかき消され、柱時計が鳴った。鳴り終わるのを待ち、ネーリは安楽椅子から立つ。部屋はすっかり暗かった。老眼鏡を押し上げる。医院に戻り、銀盆に薬を用意する。ふたたび自宅に戻り、奥の廊下を階段へと歩いた。
 窓のない階段は、薄闇に満ちていた。
 屋根裏へ。
 屋根裏部屋のカーテンは、今日は閉めきられている。ベッドから低いうめき声が聞こえた。また魘されているのか。盆を置き、寝ている男の額に手を当てた。汗ばんでいて熱い。
 すると目を開けた。刺すような視線の圧力を受け、ネーリは身を引いた。思考が硬直する。互いに動かなかった。
 一閃。雷が近い。
 ミナシキはネーリの姿を認め、目の力を抜いた。老女医が肩を使ってためていた息を抜く。
 ネーリはすぐに平常心を取り戻した。いったい何をしてきた男だろう、これは。病気で弱った人間がする目つきじゃない。
「起きなさい。薬の時間だ」
 だがしかし、家主は自分だ。怯える必要はない。厳かに言うと、相手は大人しくベッドから身をはがした。
 咳止め、解熱剤、痛みどめに胃薬。ネーリはこの男の名をシキと聞いている。シキは大人しく薬をのんだ。
 半月前に出会ったときは、酷い有り様だった。顔も体も傷だらけで、膿み、自分で手当てをしたらしいが、清潔で適切な処置など望むべくもなかっただろう。咳とともに血を吐き、ろくに走れもしない体で警察に追われていた。
 戸棚から菓子の缶を出した。
「脱ぐんだ、さあ。ぼんやりするんじゃないよ」
 缶には包帯や消毒薬などが納められている。ミナシキはごそごそと、服のボタンを外す。体温計を差し出され、それを脇に挟む。包帯がほどかれていく。赤茶に染まったガーゼが剥がされ、銀盆に積もる。
「かわいそうに、傷だらけじゃないか。いったいどんな目にあってきたんだい?」
 ミナシキは、シキは、答えない。
 この男が何者で、どういう旅をしてきたのか、ネーリは知らない。なぜ言葉の通じぬ異国を、こんな体で、たった一人で彷徨っていたのか。
「まあ、いいさ。あたしゃ警察が嫌いでね。あんたはチンピラどもを追い払ってくれた。警察よりは役に立つさ」
 ピンセットにはさんだ脱脂綿で、傷口を軽く叩くように拭いていく。
 どうして、娘の夫の保証人などになってしまったのだろう。甲斐性なしの男だと見抜いていたではないか。やはり娘を呼び戻すべきだったろうか。いいや、それが何になろう。娘には娘の人生があった。無理に離婚させるなど出来なかった。そうすれば、ふたたび巣立つ勇気をなくした娘と、一生恨まれながら同居することになっただろう。それは御免だ。
 あの男が失踪し、ネーリは家と医院を売るよう迫られた。看護師たちが辞めていったのはそのせいだ。診察中に怒鳴りこまれたり、庭に汚物を投げこまれたり。夜道を延々と付きまとわれた看護師もいたという。
 たまたまシキが居合わせていなければ、根負けして家を出ていたかもしれない。病の身でよくぞ追い払ってくれたものだ。だから警察が追いかけてきたときも、シキを匿った。
「連中もさっぱり来なくなった。あんたのお陰さ」
 体温計を取った。九度以上の熱がある。
「あがったねえ。昨日散歩にいったりしたからだ。ちょっと具合がいいからって調子に乗るんじゃないよ。薬はね、病気が悪くなってからじゃ効かないんだ」
 新しいガーゼを当て、包帯で固定する。
 シキが背を丸めて咳をし始めた。鼻紙を渡してやる。咳は激しかった。聞いているほうが苦しくなるような声で、続く。背中に服をかけ、その上からさすってやった。他にやりようはなかった。
「……ああいうチンピラの中にはね、自分も借金で首が回らなくなって、逃げて、ああなるしかなかった奴もいる。お前……お前なんだろう? 銃狩りのロクデナシどもを殺したのは。あんなところに居たりしたから、こんな体になっちまったんだろ?」
 語りかけるうちに、咳が止まってくる。しばらく荒い息を続けていたが、次第にそれも収め、服の袖に腕を通した。
 優しくいたわられているとでも思っているだろうか、彼は。
「あの旦那も、お前さんが殺したのかねえ。寝なさい、さあ、寝るんだ」
 ミナシキは黙ってネーリの顔を見る。ネーリは意を汲み、部屋を出た。足音が聞こえなくなってから、ミナシキはやっと安心して、ふたたび横になる。

 雨雲は田舎町の市街地を越え、見る間に南部郊外に迫った。その地では、ガロエが娘に飲ませるミルクを温めているところだった。
 チャイムが鳴らされた、顔を上げたガロエは、初めてキッチンがひどく暗いことに気付く。考え事をしすぎてしまった。電気をつけ、玄関口へ急いだ。雨に濡れて立っていたのは、父の工房で雇われている店番の女の子だった。女の子といっても成人しているし、婚約者もいるが。
「メリシカ、どうしたの」
「こんにちは、ガロエさん。チェーレンさんにスーツを取ってくるよう頼まれたんです」
 メリシカは濡れた前髪を払い、屈託なく笑った。
「ああ、お父さんってば傘も持たせなかったのね。上がって。スーツを探してくるから」
「ありがとう、お邪魔します」
 体を拭くタオルを持たせ、ガロエは奥の、父の部屋へ入っていく。毎日掃除しているつもりだが、やはり埃の気配が拭えず、空気が冷たい。クローゼットを開けた。滅多に出番のない父のスーツは、洗濯屋のビニールがかかったまま吊り下げられていた。
 そういえば、と、手を止める。
 あの人はスーツを持っていたかしら。

 階段室に明かりがともる。黴の臭いがした。湿気が蒸している。ついに降り始めた雨の音が、メルヴィとミンタカより先に、階段を下りていく。
 地下へ。雨音を追ってミンタカが先立ち、メルヴィが続く。
 殺風景な廊下の先に資料閲覧室はあった。棚や机にファイルが山積みにされている。
「重ね重ね言いますが、このことは内密に」
 部屋の奥まった場所の、古い大きな機械の前に座らされた。渡されたヘッドホンをかぶる。真っ暗なディスプレイに、座る自分とミンタカが映った。
「まずはこれを。特異点で拾われた音声です。我々には言葉がわからない」
 ヘッドホンからノイズが流れ、静かに女の声がまざりだす。少しだけ音量をあげるよう頼んだ。ノイズに飲まれるように切れ切れだった声が、連続した会話になる。二人の、おそらく中年女性の談笑だった。
「早くて聞き取れない」
 しばらく音声に集中したが、いくつか知った単語を聞き取ることが出来た。気候の話をしているらしい。
「……所々はわかります。ただの世間話だ。あなた方に分からず俺にわかるという事は、やはりレギニータ語でしょう」
「分かりました、ではこれを。ヘッドホンは外していただいて結構です。無音なのでね」
 ディスプレイ起動。ミンタカがタッチパネルを操作。動画が画面いっぱいに流れた。
 ああ、と声をあげたいのを、手を伸ばしたいのを、堪える。懐かしいレギニータがあった。ああ、あそこに行きたい。帰りたい。薄暗い中層部の市街だ。立体的に複雑に入り組んだ鉄路を、まばらに人が行きかう。
「ずっとこんな感じです。レギニータの日常とはこうしたものなんです?」
 メルヴィは奥歯をかみ締めた。
 と、人々が一斉に動きを止める。
 ミンタカが停止させたのかと思った。
 違う。動き出す。市民たちがみな一斉に方向を変えた。画面左端へ流れていく。場面が変わった。表層へいたる大エスカレーターが映される。上へ行く側に人がひしめきあい、下る側は無人。
 ミンタカが身じろぎした。横目でうかがえば、予想外の真剣な眼差しを画面に注いでいる。何故? 彼女は一度、この映像を見ているはず。画面に目を戻す。と、そこに映る人々が一斉にこちらを見た。
 身を引き攣らすメルヴィをよそに、画面が切り替わる。
 表層部。風が強い。明るい真昼の街。見たことのない区画だった。白壁の住宅、通りの中央の並木。中層部に日光を落とすための路上の窓と、それを護る青銅の柵。青白い顔の人々が、髪を風になぶられるまま、どこかへ歩いていく。一箇所へ。
「止めてください」
「止めるぞ」
 二人が共に言った。画面が静止し、消える。もとの黒い画面。
 薄く汗をかいていた。
「ここは」
 メルヴィは汗をぬぐう。
「……空調の効きが悪い」

 ―2―

 一階の休憩スペースでコーヒーを買い、安いソファに座ると、メルヴィはやっと落ち着きを取り戻した。まだ何かが地下資料室から、見えない線となって自分についてきている気がしてならない。それはエスカレーターで一斉に振り向いた人々の視線であり、見知らぬ区画をどこかへ向かう人々の行列である。それが自分の後ろに広がっている。
 怖い? 
 レギニータは祖国だ。怖いなど、そんなことがあるか。怖いと思うこと、思っている事態そのものが恐ろしい。だがあれは何だったんだ。ミンタカの反応もおかしかった。もとの映像はああではなかったんじゃないか?
 紙コップを口につけるが、飲む気がおきず、離す。膝に手を下ろすと、視界の隅に何か入った。
 廊下の角から、小さな女の子が覗いていた。
 目が合うと隠れる。
 今度は背の高い、若い女が現れた。丈長の白い着衣に、サイドテールに結んだ赤い髪。メルヴィやリネットの燃えるような赤毛ではなく、ミンタカの暗い赤とも違う。薄く大人しい赤だった。
「こんにちは」
 静かな声で挨拶をした。
 声を聞けば、女ではなくまだ少女らしい。そこに居るのにどこか現実離れしている希薄な存在感。
 DOLLsだ。
「第十二枝からいらしたメルヴィさんですね。お隣、よろしいですか?」
「ああ」
「初めまして。プラガットと申します。さっきの子はアガーシャ」
 大人びているが、やはりまだ少女だった。動くと微かな風が起こる。座ればソファがへこむ。人間と同じだ。メルヴィは警戒を解かず、プラガットの出方を待った。
「堅苦しい言葉はよしましょう。メルヴィさん、あなたはDOLLsが嫌いなの?」
 淡い水色の目が、じっとメルヴィの目を覗きこんだ。
 見つめあっても真意など分からなかった。メルヴィは迷った末、相手が望むとおりに答えた。
「……よく知らないから好きでも嫌いでもない。あんたは初対面の人間にそういうことを訊いて回ってるのか? 嫌われてるなら、そのせいだろ」
 プラガットが傷ついた表情を見せる。一瞬だけ、一矢報いたような快感があった。あとは自己嫌悪だった。プラガットは俯いた。
「そうね」
「だろ? 他に用は」
「パジェットさんにも、初めて会ったとき同じことを訊いたの。そんなことないと答えてたわ。でも彼は、私たちを嫌っているとしても、それを悟られたりはしないでしょうね。メルヴィさん、あなたはR.R.E.さんに言ったんでしょう? 私たちは生体兵器だって」
「俺が何をどう感じたかなんてことネチネチ責めんのは筋違いだ。ほっといてくれ。俺は今それどころじゃない」
「待って」
 立ち上がろうとするメルヴィの膝に、プラガットが手を置いた。白く華奢な手だった。
「……私がDOLLsじゃなかったら、あなたもこんな態度は取らないでしょう。差別的態度だわ。聞いて。あからさまに避けられるのは嫌」
「俺が差別をしてるだって?」
「あなたはDOLLsが嫌い。それなら私もあなたを嫌いになる。不毛だわ。そうならずにすむ機会はあるでしょう?」
「手をはなしてくれ」
 仕方なく答えた。
「捕まえられて聞くなど、ごめんだ」
「ごめんなさい」
「で?」
「誤解を解きたいの。私たちは人間よ」
「そう聞いている」
「私たちは人間の女性のお腹から生まれるのよ。精子と卵子のバンクから、選ばれ、生身の人間に託されるの。工場で作られてるわけじゃないわ」
 プラガットは手を、自分の膝に戻した。
「そして成長すれば、卵子や精子を取られる。R.R.E.さんはその第一世代。私は第二世代」
「生身は人間ってわけだろう。それぐらい分かってる」
「私たちは純粋な目的のもとに生まれてきたの。親世代のために。みんな望まれて生まれてきたんだわ」
「戦うために生まれさせられたんだぞ。他の生き方をしたくないのか? 人間が憎くないのか?」
「だから、私たちは人間よ! 心も体も人間です。憎いわけないじゃないですか。DOLLsっていう新種の生き物なんかじゃないの。戦うのが……自分が死ぬのが嫌ならさっさと逃げればいい。私たちには人権がある、誰も死ねなどと強制はしません」
 膝の上で、細い指が丸くなる。
「だけど、私はアガーシャを守る。守る能力があるからよ。あの子が大きくなるまでに蟲を減らしておきたい。あなたもでしょう? あなただって、大切な人を捨てて逃げたりはしないでしょう?」
 脳裏にリネットの顔が閃く。それが見えたでもあるまいに、プラガットは満足した様子を表情に滲ませた。
「思いが、私を人たらしめているのよ。思い続けるわ、アガーシャを守るって。私は人間です」
 体を傾けて、目を覗きこんでくる。
 体も心も人間。どう? あなたにまだ、私やDOLLsを否定する要素はあるかしら。そう訊かれているようだった。
 DOLLsはともかくとして、少なくともプラガットにはこのさき苦手意識を持ち続けることになりそうだ。何故か。性格が嫌いだからだ。
 性格ゆえに嫌い嫌われるなど、実に人間らしいじゃないか。なるほど。
 プラガットは立ち上がる。
「外は雨です。足もとにお気をつけて」
 なかば呆気に取られて背中を見送った。やがて少し離れたところから、アガーシャというあのDOLLsの子供と、プラガットの笑い声が聞こえた。
 守りたいという思い? 大切なものを? ……そんなものを持たない人間はいくらでもいる。自分の命が一番大事だとして、なぜそれが責められよう。
 今更になって言い返したい言葉がわき起こる。プラガット、DOLLs、お前は俺を差別者といった。お前はどうだ? お前こそつまらない選民意識の持ち主じゃないか?
 純粋な目的のため、親世代の人間のため、望まれて生まれてきた。
 それならお前はくだらない人間のために戦えるか? 自分を差別したり、貶めるような人間のために戦う覚悟があるのか? そんな覚悟を強制されることをおかしいと思わないのか?
 俺は軍人だった。軍に批判的なもの、否定的なもの、そうした腹の立つ人間もまとめて守ってきたつもりだ。
 だけどお前はまだ女の子じゃないか。普通の人間なら、楽しい、楽しい青春時代じゃないか。第一なんだ、もしもたった一人のアガーシャを失ったら何を支えに戦うんだ? 人間をやめるのか?
 メルヴィは硬直する。
 ……俺にだってリネットしかいない。
 もしリネットを失ったら、俺はどうすればいい? 人間をやめるのか?
 硬直が不意にとけた。
 紙コップを捨て、受付まで走る。たしかに外はどしゃ降りだった。ミンタカを呼ぶよう受付で頼む。そののち現れたミンタカに、掴みかからんばかりに迫った。
「さっきのをもう一度見せてくれ!」
 ミンタカは反応する手立てもないという様子で、黙って顔をみてくる。
「何か手がかりがあるんだ、あれに! 頼む、俺はレギニータを失いたくない!」
「まずは落ち着きましょう。何回でもお見せしますよ。ただそんなに興奮していちゃダメだ」
「落ち着いている」唾をのんだ。「大丈夫です」
 果たしてもとの部屋に戻り、機械の前に座った。
 映像は変わっていなかった。
 中層の市街。大エスカレーターを目指す人々。大エスカレーター、そして、見たことのない区画。
「止めて」
 停止。並木、青銅の柵、道を埋める人々。
「こんな区画は見たことがない。でも何となく知っている気がするんだ……。すみません、もう少し送ってください」
 どこかで見たぞ。道の中央にある並木。青銅の柵。白壁の住居群。こんなに人はいなかったが……。
「思い出した!」
 建設中の区画だ。
 合成映像で見たのだ。だから無人だった。都市計画で、こうした区画を作る企画があった。メルヴィはそれを伝えた。
「でもまだ建設中だったはずだ」
「馬鹿な。未来から映像が来たというのか」
 メルヴィとミンタカは、ともに画面を注視した。
 画質が次第に劣化する。そうしてさっき止めたところで、映像は暗転して切れた。

 こんな雨の日、拾った猫は、外に出たいと鳴いた。
 拾ったのは母だ。学校から帰ると、居間で母が猫を撫でていた。買い物に出たら懐かれて、そのままついてきたのだという。既に老いた猫だった。父はもちろん、猫を飼うことに賛成した。トリスも猫を受け容れた。
 雨の日。一人で留守をしていた淑恵は、猫が鳴くので一階におりた。猫は玄関の戸を掻いて、出たいと淑恵に伝えた。いつも猫はそうして気ままに散歩に出ていた。
 だがその日、細く戸を開けてもすぐ出て行かなかった。
 振り返り淑恵を見上げた。
 猫はもう帰ってこない。淑恵にはわかった。何故わかったのか、わからない。ただこれは運命で、はじめから決まっていたのだ。引き止めてはいけない。猫は家を出て行った。やがて電話がかかってきた。飼い猫が轢かれて死んでいることを親切な近所の人が教えてくれたのだ。
 インターホンが鳴った。
 淑恵は我にかえり、座卓の天板から顔を上げた。
 足音に気付かなかった。雨のせいだけではあるまい。玄関に駆け寄り、開けると、ずぶ濡れの朱鷺子が立っていた。朱鷺子は笑顔を見せた。
「急に降って来ちゃってさあ。ごめんね! タオルもらってもいい?」
「うん。待ってて。すぐに持ってくるよ」
 両手に靴下をぶら下げて入ってきた朱鷺子は、茶の準備をする淑恵をよそに鞄から一冊の本を取り出した。
「これ持ってきたよ、前に言ってた本」
 座卓に戻ると、一冊の本が目の前に差し出された。
『オルガン国へようこそ』
「前に読みたいって言ってたよね。古い本だけど」
「ええ。覚えてたんだね」
「前言ったっけ。この作者、第一枝に正式に穴のことが知らされるずっと前に、第七枝に来たんだ」
 淑恵は作者の名、小幡千賀子という文字列を、撫でた。
「どんな事情があったんだろうね。ありがとう、大事に読むよ」
「次の仕事は見つかった?」
「ううん」
「ここだけの話だけど、近いうち事務の席が空くよ」
 淑恵は本から顔を上げた。
「一人、妊娠休暇とるから。求人が出ると思うけど、私が紹介しようか」
「悪いよ」
「いいって! ね? 淑恵さん。悪い職場じゃないよ。毎日家の中でじっとしてたら、それこそ気が滅入っちゃうしさ」
 そうだ、と言って手を叩いた。
「気分転換に遊ぼうよ! 今夜久しぶりに飲みにいかない?」
「えっ?」
「待ってね、付き合ってくれる人いるかな。パジェットさん暇かなあ」
 戸惑う淑恵をよそに、電話を出し、耳に当てた。
「いいって朱鷺子さん、そんなにしてもらっちゃ、悪いよ」
「そんなのいいって――あっ、パジェットさん? 今夜ヒマ? 一緒にのまない?」
 電話の向こうから、大きな男の声が漏れ聞こえた。
「えっ、会う約束があるの? そっか、えっ?」
 しばらく黙った朱鷺子だが、また大声で笑った。
「ややこしい、それもう他人じゃん!」
「朱鷺子さん、無理ならわたし」
「いいっていいって! ――ううん、こっちの話。ほんと? いいの? わかった、また電話するね」
 朱鷺子は電話を切ると、やった! と言った。
「一緒に飲もって」
「でも、その人の都合は大丈夫なの?」
「えーとね、パジェットさんの、お義父さんのお店の店番の女の子の婚約者が一緒だよ。面白い人だってさ。きっと楽しませてくれるよ」
 いつまでも戸惑っているのも申し訳なく、淑恵は曖昧に微笑んだ。

 ―3―

 雨は夜になるとますます激しさを増した。そんな中、朱鷺子と淑恵はタクシーを呼び、市街中央のバーへ入っていった。
 重いガラス扉を閉める。雨など嘘というように、雨音が静かな音楽に切り替わる。
「予約で、待ち合わせがあるんですが。工藤朱鷺子と水城淑恵です」
 受付で銃器を預け、店の奥へ。青い電球が照らすうす暗いパーテーションで、パジェットと、朱鷺子が知らない若い男が向き合っていた。
「こんばんは!」朱鷺子が言うと、淑恵も後ろで控えめに頭を下げた。「こんばんは……」
「おう、座れや。まだ降ってるか?」
「どしゃ降りだよ! ここまでタクシーで来たんだもん」
「ハッ、そうか」
 朱鷺子は上着をたたんで、パジェットの隣に座った。淑恵はもう一人の男と目を合わせた。二十代半ばか、後半辺りだろう。身なりがよく、上品な雰囲気をまとっている。
「すみません、隣、失礼します」
 男は晴れやかな笑顔で、それを許した。
「ヨナン・ヨルと申します。神学理論学士です」
「えーっと、パジェットさんのお義父さんのお店の――」
「店番の女の子の婚約者だ」
「水城淑恵です、第一枝からの移民です。よろしくお願いします」
 淑恵は改めて、パジェットとヨナンに頭を下げた。
「水城さんも儀礼銃に関係したお仕事をなさっているのですか?」
「いえ……」
「うん、でも近々事務に入るかも。一人空くんだよね、パジェットさん。ヨナンさんは普段どうした研究をなさってるんですか?」
「神学理論過程におります。僕はそこで神学解釈にとりくんでいます」
 ヨナンは笑顔で答えた。
「パジェットさんの儀礼銃は第一枝のものです。第一枝の彼の故郷の聖地で、第一枝の信仰に基く儀礼が施された。それが変わらず第七枝でも威力を発揮できるのは何故だか、分かりますか?」
「多世界で共通した神学解釈があるから?」
「そう。多世界がどれだけ違う世界に見えても、おなじ地球であることには変わりありません。だから食文化や地理も大きく変わらない。パジェットさんの故郷の神霊もまた、この第七枝にいると言えるからですよ。似通った解釈のもとで、姿を変えてね」
 酒と料理の皿が運ばれてくる。会話がとまる。ウェイターが立ち去り、料理を小皿に取りながら、ヨナンは続きを話し出した。
「けれど蟲がどこから来たのか? なぜ、来たのか? それに関してはどの多世界にも答えはありません。神学に、蟲に対しての答えはあるのか?」
 酒をあおる。朱鷺子はその様子を見て、自分が来るずっと前から彼が呑み続けていたことに気付いた。青い照明が隠しているが、顔が黒ずんで見えるのは赤くなっているせいだ。
「終末論的なものを唱えている人たちはいますよね。人類への裁きとか」
「あります、しかし蟲はそうじゃない。あの存在が、神が遣わしたものであるはずがないのです。そうだとしたら儀礼銃は効かない。神霊は人類に儀礼銃や呪符弾、枝によっては術式弾という形で力を分け与えて下さっています。蟲の存在を神の怒りととなえて利益をむさぼる者たちもいます。連中の存在はカルトだ。一緒に考えてはいけない」
 また酒をグラスに注ぐ。
「これは試練なのです。神は人類に、力をふるうことをお許しになっている。様々な武器や兵器を用いて存続を図ることは人類の義務です。人は神の似姿だ。自らそれを蔑ろにすること、絶つことはゆるされない」
「DOLLsの存在は? あれも兵器なのですか?」
 つられてきついチェリー酒をあおりながら、朱鷺子は重ねて訊いた。
「DOLLsを作り出したことは許されるのですか? 兵器だとしたら人は人の似姿を作ったことになるでしょう?」
「DOLLsたちは人間です。細い体に信じられない力を秘めたものであっても」
「同等の人間だと認めては、オレら人間側からの一方的な操作は許されなくなるな。DOLLsは今こそ圧倒的な少数派だが、いずれそうでもなくなるだろう。DOLLsはReRouEと同化した肉体をもっている。可愛いお人形なんかじゃねえ。ホントのとこどう思うんだ? 人類を生きながらえさせるためのDOLLsが、いずれ人間になりかわるんじゃないか? そういう疑問の声は届いてるんだろう?」
「DOLLsは人間の被造物ではなく、人間の進化形とみることもできます」
「モノは言いようだな」
「それこそ解釈問題なのです。蟲という未曾有の天敵に立ち向かうのに、人間の力と知力が足りないならば、滅ぶか進化をしなければならない。その進化は劣化に見えるかもしれない。パジェットさん、いま現在DOLLs同士の生殖は禁止されています。彼らは自力で増えることが出来ない。しかしこの決まりごとに法的根拠はない。これはひどい人権侵害なのかもしれない。兵器か人間か、論争に決着がつかないからです。つかないまま、DOLLsたちが生殖できるまでの月日が経ってしまった」
「だけど、DOLLsたちが子供を産んだら、その子供にReRouEは宿っているのですか?」
「通常ではそれは考えられません。ReRouEは無意識下で繋がっているものの、ひとつひとつは独立した個性を持つ人工の霊体です。新たにReRouEを付与する必要があるでしょう」
「自分たちで増殖できないんなら、やっぱり進化した人間とは言えないんじゃないかな」
 と、朱鷺子。ヨナンはそれを否定しなかった。
「そうですね。DOLLsは増えていくでしょう。苛烈さを増す蟲の攻撃に、DOLLsの存在はなくてはならない力です。一方で人間は減っていく。その頃にはDOLLsたちは自分で繁殖できるようになっているかもしれない」
 ヨナンが鞄から、ファイルを取り出した。
「これを。世界樹系図です」
 料理で汚さないように気をつけながら、それを壁に立てかけた。ヨナンが言うとおり立派な世界樹が印刷されていた。
「そしてこれが現在の有り様です。見てください」
 次に見せられた世界樹系図に、朱鷺子も淑恵も眉をひそめた。
 実に多くの葉が、分節が、塗りつぶされていた。第十二枝にいたっては枝ごと抹消されている。塗られているのは滅びた世界だ。どの枝も半ばから梢にかけて真っ黒になっている。
「末梢から基幹にむかって枯れているのがお分かりでしょう。どこも末梢の分節は、優れた科学技術力を持つ世界でした。神霊の力を生かす神学技術よりもそちらに長けていた。神霊の力はより原始的で、根源的な力と言えます。いっぽう基幹は過去方向だ」
 塗られた梢のひとつから、基幹へとまっすぐ指を這わせた。
「師は、仰いました。世界樹世界の時間は過去へ向かっているのではないか?」
「どういうことだ?」
「つまり世界は過去へと退行しているのです」
「ありえない」パジェットはすぐに、首を横に振った。
「オレたちの意識は未来に向かってる。肉体もだ。オレは歳を食った」
「人間も世界樹とともに過去へ進むことが出来るかもしれない」
 ヨナンは言った。
「人間ひとりひとりは未来へ向かっている。しかし世界樹世界そのものは過去へ向かっているなら――」
「飲みすぎだ」
 続けて酒を注ごうとするヨナンの手を、パジェットがつかんで止めた。
「知っていますか? ReRouEが何の略語かを。『永遠への退路』だ。蟲とは何の接点もない閉じた系、つまり過去へと退行する武力のことだ。第十二枝の人たちは知っていたんじゃないか? このことを、世界が過去へ向かうことを」
 しかしヨナンは飲むのをやめない。
「存在、魂を、研ぎすまされたより純粋なものにするために、修行の場として現世がある。そうなるまで何度でも生まれ変わる。どの世界にもある宗教の考え方です。ReRouEが第十二枝で生まれた背景には、それに類する輪廻と再生の思想があった。ならば人間も老人から生まれて赤子へ、受精卵へ、そして無に帰していくのが理にかなった在りようだとは思いませんか?」
「そんな世界、想像できないよ」
「そうです、朱鷺子さん。想像できない。人間は未来へ向けてエントロピーを増大させていく生き物だ。意識も体も過去へはいけない。だから人間全体の無意識の意志としてDOLLsを作ったのです。過去へ向かうために。世界樹世界に対する人類の逆行をとめるために。余計なものを付与された人間を、作った。研ぎ澄まされることの逆です。過去に向かう行為です。人類は過去へ向かえる、DOLLsになりかわられることで」
「待て」
 パジェットが制した。
「過去に向かってDOLLsが繁栄するなら、現在から未来方向にいる人間たちは何だ? これが過去への退化なら、かつてDOLLsは人間の祖先だったってのか? パラドクスだ。それで蟲の存在はどう説明できる?」
 世界樹系図の末梢のひとつを指でさす。
「未来から来て、これもまた居なくなるってのか?」
「ええ。蟲の世界というのは、この末梢がさらに伸びた伸びた……その先にあるものかも知れません。人間には行けない」
「……じゃあ、蟲は未来の人間が作ったものかもしれないと?」
「蟲は未来に人間の手で作られ、未来から、人間を滅ぼしに来た。そのタイムパラドクスがすべて、蟲の出所や発祥というものを隠したり壊してしまったかもしれません。蟲の発見から三十余年、枝によっては百年以上、蟲のたちの発祥に関して有力な説を唱ええたものはいない」
 ファイルをしまう。
「蟲という存在が未来の人間の意図せぬ失敗作ならば、彼らは望んだことでしょう。異形の侵略者など永遠に来ぬ世界を。……永遠への退行、退路、すなわち過去を。ならばいずれ人間はDOLLsになる。ReRouEを宿し、より神霊と一体化した人間へ。いずれ蟲もいなくなり、DOLLsたちは土を耕して生きるかもしれません。祈りとともに」
「それが不純なのですか?」
 淑恵は不思議に思い、訊いた。
「神霊や信仰の力と共にあることが?」
 若き神学者は奥歯をかみ締め、酒をくらおうとし、自制した。
「……喋りすぎました」
「いいや、蟲の出所の意見なんてのは、多世界という次元で語られたものばかりだったな。時間という線で考えられたものは初めて聞いた。ヨナン、多くの宗教で、神とは太古において人類を創造した存在だろう」
「ええ。つまりその逆があるかもしれない、という考察です。我々の祖は未来において人間を作り、我々人間は未来から来た。あるいは全く関わりあうことのない、高次の次元で作られ、そこから来た」
 グラスを手放し、ヨナンはまっすぐにパジェットを見た。
「パジェットさん、この世界樹世界の分岐を収束させうる人間がいるかもしれません」
 酔いがさめた。
 もとからあまり飲んではいなかったが、それでも、自分が何かまずいことを言ったかと思い返さずにいられなかった。
 ヨナンはそんなパジェットの思いも知らず、酔った、しかし真剣な目で凝視してくる。
「世界樹世界は未来に向けて展張していくものでした。ある時突然、まったく完全な形で作られたものでないのなら。しかし世界樹世界全体が過去へ向かっていくのなら、枝葉を収束させる基準が必要となるでしょう。その楔を見出すことができれば、師と私の考えの裏づけとなるかもしれません」
 パジェットはそれを黙って聞いた。
 収束点のことをさして言っているのだろう。知っていて、試しているのか? まさか。収束点の存在は、誰もが知っていていいものではない。本当に、本当にこの男と師とやらが独自に考え、存在を予想したものなのか?
「……時の始まりと、時の終わり。どちらの果てにも人間はいないでしょう」
 酒がなくなった。
 お開きかと淑恵は思ったが、朱鷺子が追加で注文した。
 それからの話は和やかなものだった。仕事の失敗談を笑ったり、ヨナンと婚約者のメリシカとの馴れ初めを聞きだしたりしている内に、時は過ぎていった。この楽しい時間は朱鷺子とパジェットが演出しているからあるのだという事も、分かっていた。料理は冷めていた。

 チェーレンもまた、小幡力哉ことリキヤ・リプルを相手に飲んでいた。安い大衆酒場では、アルコールくさいタバコの煙が渦巻いていた。
 その末席で、小幡が大事そうに細長い箱を取り出した。偽物の革が張られたチープな小箱だが、大事に扱われてきたそれには、傷ひとつついていない。きれいになった皿を押しのけ、小幡はそれをテーブルに置いた。チェーレンに向けて小箱を開くと、中には子供番組のスーパーヒーローのフィギュアが収められていた。
「これは二十年前の新年限定販売品でしてね、見てください、マントの裏側にラメ加工がしてあるでしょう。この限定版も百個しか製造されなかったものですが、ここよく見てください」
 小幡は身を乗り出して、フィギュアを傾け、ヒーローの右足とマントの間を見るよう促した。そこに署名があった。時を経て薄くなっているが、読み取れないものではない。
「さらにこれはですね、限定五体のシークレットなんですよ。原作者の直筆サインです」
 小幡は酒臭い息で大笑いし、大事にそっと箱を閉じた。
「おれは、こんな物を……」
 今度がチェーレンがポケットからカード入れを出し、三枚のカードを抜いた。
 おもちゃのカードだ。
「おや、珍しい」
 対戦型カードシリーズの名を、小幡は迷いなくあげた。チェーレンは頷いて肯定する。描かれているキャラクターは三枚とも同じだ。
「これ……背景がミラー加工になっているだろう……」
「ええ、はい」
「このキャラクターの通常バージョンは黄色地に教会のイラストだ……。あと、靴先の色が違う……緑、赤、青……」
「ほう。うわあ、本当ですね」
「集めるのに苦労した……」
 チェーレンは、汚してはならぬとばかりにそそくさとカード入れに収めた。
「おれは、息子が子供の頃、集めるのを手伝ってやってな……そのまま……」
「ほぉ、そうですか。僕は子供の頃からずっと好きで、それが高じましてね」
 チェーレンは長い眉毛の下の、老犬のような目で小幡を見た。
 この男はいつから第七枝にいたのだろう? 第一枝に多世界の存在が公表され、移民が受けいれられるようになったのは、十年近く前のことだ。……公には、そうされている。
 だがチェーレンは、酔った小幡にそのことを語らせはしなかった。
「随分と、古いのですな……」
 小幡はケースを撫で、笑う。
「家内には言えませんがね、実は家に帰って真っ先に無事を確認したのが、金庫の中のこうしたお宝たちなんですよ」
「うん……」と、チェーレン。「おれも、娘婿には言えん……」
 新たな客が入ってきた。湿った風が入る。外を見れば、幾分小ぶりになっていた。
 二人は勘定をすませ、店を出た。
「それじゃあ、どうも。今日は付き合ってくださってありがとうございました!」
「うん……」
「明日からまた一緒に頑張りましょう!」
 チェーレンは、穏やかな目で頷いた。いつから使っているか分からないような、古ぼけた傘を差し、暗い夜道を歩いていく。
 小幡も、昼に妻が届けてくれた雨傘を開いた。
 それは鮮やかな花模様の、妻の傘であった。
 小幡は驚き、笑みを浮かべると、満足して家路につく。

 同じ雨を、ベッドの中で薄目を開けてミナシキが聞いている。








(今年の投稿はこれで終わりです。次回は1月17日の予定です。それではよいお年を。)
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