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『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈33〉 著者:豊原ね子

夢見る病気〈33〉 第三章 Utopia(第七枝 夏) 第四話 神話の子 ――1/2

 第四話 神話の子

 ―1―

 熱風が肌を焼く。月だけが照らす中、パジェットはその男に歩み寄った。
 ミナシキは身を引く。
 再び膠着が訪れた。
 パジェットが歩を詰めた分だけ、ミナシキは目をそらさず、後ずさって距離をあけた。
「まあ、なんだ」とりあえずパジェットは話しかけた。「入るか? 何も出せねえけど」
 北部郊外からここまで歩いて来たのだろうか。結構な距離がある。市街を突っ切って最短距離をとったにしても、徒歩で気軽に来れる場所ではない。
 パジェットはつとめて優しく、ゆっくり語りかけを続けた。

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈32〉 著者:豊原ね子

夢見る病気〈32〉 断章・オルガレータへようこそ Ⅴ

 ―過去を地理として求める章―

 階段だけがある細長い部屋に、猫が一匹飛び出してきた。壁にあいたその穴から、次に火車が押し出されてくる。ついで識の腕が、そして頭が。
 狭い穴を這い出た識は、火車を背中に装着しながら階段を見上げた。古い木の階段が天井板まで続いていた。両脇は白い壁に挟まれている。猫に黙って手を伸ばすと、猫は、識の指先に鼻をこすりつけた。
 ルキーノがこの先にいるとは思えなかった。
 猫を鞄に入れて振り返ると、しかし今来た穴はもうどこにも見当たらなかった。
 背中が冷えるのを感じ……識は階段を上る。

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈31〉 著者:豊原ね子

<夢見る病気〈31〉 第三章 Utopia(第七枝 夏) 第三話 雷火 ――2/2
 
 ―4―

 曇天が、鈍い灰色のガラスの針を降らす。
 海は寒さを生む。差さぬ太陽を恨む。白い潮の飛沫たちは、病床の噂をする。
 それは合わせ鏡。
 隙間に町がある。町があり道がある。道を青年が歩く。
 青年、ミナシキが海辺の道で歩を止める。顔を上げた。上空から変わらず針が降り、おさまる気配はない。雲の色の針は羽根のように舞いおり、肌に当たればするりと滑る。傷つけられはしない。
 人を探すためまた歩く。海鳴りさえ黙っている。降り積もる針たちの会話。白いドレスが飾られたブティックに、透き通る人影を見た。
 無人の店内を背景に、着飾った男女がひしめきあっている。ウィンドウに投影された彼らは、ガラスの中で身動きも取れぬままミナシキを凝視する。
 死んでいる。

『夢見る病気』豊原ね子

投稿作品『夢見る病気』〈30〉 著者:豊原ね子

夢見る病気〈30〉 第三章 Utopia(第七枝 夏) 第三話 雷火 ――1/2

   第三話 雷火

 ―1―

 押し寄せる雲が薄茶に色付き、森から遠雷が聞こえた。湿り気を帯びた風が街路で渦を巻く。砂埃が路上で円を描きながらはしって行く。すぐに小雨が降り始めた。家々から女たちが飛び出し、あわてて洗濯物を取りこむ。
 北部郊外の一軒の平屋だけ、洗濯物が取りこまれない。
「トラちゃあん」
 中年の主婦が、猫を探してさまよい歩いている。
「トラちゃあん!」
 医院の前庭の植えこみから茶トラの猫が飛び出した。「トラちゃん」、主婦が猫を抱き上げると、雨が本降りになる。叩きつけるような雨の中、主婦は平屋に帰っていく。

『夢見る病気』豊原ね子

夢見る病気 みちしるべの〈6〉

〈ご挨拶……みちしるべ篇とはズギャアァッ!!〉
 こんぬつわ作者でつと挨拶するのが何度目か失念してしまったがこんぬつわ作者でズギャアアァ!
 みちしるべ篇とはみちしるべ(目次)を書き記す本編のおまけであるが肝心のみちしるべがついてないことが多いまあそんなところでズギャアアアアァ!
 作者が馬鹿話をしたり真面目な話をしたり片隅で特定の主要登場人物が虐待されていたり別に私の頭はイカれてなズギャアアアッ!!

〈近ズギャアッ!〉

 ツイッズギャアアアッ!(http://twitter.com/Toyo_ne)。

〈内容……途中から読み始められた方に。〉
 次回でなんと夢見る病気(本編)の連載が30回を迎えます。つきあってくださる管理人のクロミミさん、読者の方々、いつも有難うございます。
 web小説としてはかなりの長編であるため、途中から興味をもってくださった方も尻ごみをなさっているのではと思います。
 ので今回は、これまでの各章の簡単な内容紹介をします。
プロフィール

黒実 操

Author:黒実 操
「竹の子書房」に参加中。
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